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私のカスハラ体験記④【カスタマーハラスメント】を学ぶ
前回は、銀行員時代に受け付けた住宅ローンをめぐって
【お客様に監禁された事件】をお話ししました。
今回も銀行員時代の話ですが、
25年も時が経っているのに
未だにモヤモヤ感がぬぐえないお話しです。
題して【トラベラーズチェック販売事件】です。
皆さん、「トラベラーズチェック」って覚えてますか?
今はもうあまり聞きませんが、
昔は海外旅行のお供でしたね。
旅行中の盗難や紛失の心配がなく、
安全に使える小切手ということで、
銀行でも普通に販売してました。
入社3年目、窓口担当だった私は、
ある日、トラベラーズチェック(以下、TCとします)を
求める中年女性のお客様に接客しました。
「ドル建てのTCを」
とのご要望だったので、その通りに販売し、
「ありがとうございました~!」
と笑顔でお見送りしました。
でも、それから1か月後。
いきなり上司に別室へ呼ばれました。
「お前が売ったTCで本部にクレームが来てるぞ!」
「オーストラリア旅行で使えなかったんだとさ!」
なんと、お客様が持って行ったドル建てTCが
現地オーストラリアで使えなかったというのです。
「オーストラリアでは豪ドル建てじゃないとダメだろうが!」
と、上司が詰め寄ってくるではありませんか。
そう、私は米ドル建てのTCを販売したのですが、
そのお客様には豪ドル建てのTCが必要だったのです。
でも、私は言われた通りに【ドル建て】を販売しただけ。
そこで、正直に反論しました。
「いや、ドル建てが欲しいって言われたので…」
すると、上司はさらに追い詰めるようにこう言いました。
「旅行先を聞かなかったのか!?
確認していれば、豪ドル建てTCしか使えないことをアドバイスできただろ!」
これ以上反論すると火に油なので心の中でつぶやきましたよ。
「売ってくれと言われたものを売っただけなのに、なんでクレーム言われなあかんの…」
「普通、自分の旅行先でどの通貨のTCが使えるのかぐらいは自分で調べるもんじゃないの?」
「そもそも他の先輩もTCを販売する時に旅行先なんてイチイチ聞いてないし…」
「『旅行先をヒアリングせよ』なんてマニュアルもないし教わってもないもん!」
「結果だけ見て、後出しじゃんけんで怒られても俺は納得できん!」
こんな感じで段々と怒りが湧いてきたわけです。
一方で、お客様が不快な気持ちになったのは事実ですし、
もうちょっと気配りすべきだったという反省もありました。
結局、そのお客様の自宅へ、
当時の支店長と一緒に謝罪へ行くことに。
「旅行先を確認せずに販売してしまい、申し訳ございませんでした」
とお詫びし、謝罪を受け入れていただきました。
問題は帰り道です。
支店長は
「なんでお前は旅行先を聞かなかったんだ!」
とまた怒り出す始末。
お客様の前ではポーズとして私が悪者になるのは理解できます。
しかし、二人きりの時にもネチネチと詰められるとは。
TCのマニュアルや教育が不十分だった話にしてくれれば、
私も「気配りが足りませんでした」と素直に反省したかもしれません。
が、こうも私一人が悪いと言われると
さすがにモヤモヤは消えませんでしたね…。
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なんだかパワハラっぽい話になっていますが、
カスハラの視点で見てみるとどうなるのか?
厚労省が示すカスハラの要素は3つあります。
【1.要求内容の妥当性】
【2.手段・態様の不相当性】
【3.労働者への影響】
それぞれ見ていきましょう。
【1.要求内容の妥当性】
今回は物品を要求しているわけではなく、
楽しいはずのオーストラリア旅行が
TCが使えなかったことにより、
嫌な思い出として残っちゃったことで、
怒りが収まらないという感じでした。
お客様の主張としては
【TCを買うときにひと言「どこにご旅行ですか?」
という気の利いた質問があってもいいのでは?】
という気配り、つまり、過大すぎず、
いつでも誰でもできることを要求していたので、
妥当性については問題ないでしょう。
むしろ、「良いサービスとはなにか?」
を考えさせられるクレームだったと感じます。
私もこの点については素直に反省し
以後、TC販売の際には気を付けるようにしました。
【2.手段・態様の不相当性】
「家まで謝罪に来い!」
と言ったのではなく、
本部のクレーム受付担当が
「謝罪に行かせていただきます」
と提案したわけなので、特に問題にはなりません。
土下座や慰謝料を要求されてもいませんし。
【3.労働者(私)への影響】
クレームにより体調を崩すことはなかったので
特に問題はないですが、
「上司や支店長は建前重視で私の味方になってくれない」
「あの2人に信用されていないし、信用してもいけない」
とモチベーションが下がったのは事実ですね…
カスハラってもしかしたらクレームの内容より
クレームに対する会社の姿勢が
けっこう重要なのかも知れませんね。
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今回のお話、カスハラと呼ぶには微妙かも知れませんが、
次回は「これぞカスハラ!」というお話しをします!
次回もお楽しみに♪