ブログ
言葉の節々に現れる心の距離とは?
今回は、冒頭のいつものくだらない雑談と
本題がしっかり繋がっているという、非常に珍しい回です。
最初は本当にどうでもよい話しなのですが、
「くだらない!」
と言って途中で読むのを諦めずに、
なんとか我慢して読み進めてみてください(笑)
さて、「ワンチャン」という言葉をご存じでしょうか?
もともとは
「ワンチャンス(one chance)」の略語で、
「一度のチャンス」「可能性が少しはある」という意味。
「勉強してないけどワンチャン赤点はクリアできるんじゃね?」
「賞味期限2週間過ぎてるけどワンチャン食えるかも」
なんて使い方をするようです。
数年前、娘たちがよく口にしていたのですが、
私は「なんだその言葉は…」と違和感を覚えていました。
そこで彼女たちがその言葉を発するたびに、
「ワンちゃん、ネコちゃん、ウサギさん」
とつぶやいて、よくからかっていました。
ところがあるとき、ふと思ったんです。
「犬はワンちゃん、猫はネコちゃん」
「なのに、なぜウサギは“さん”なんだ?」
「ウサギちゃん」とはあまり言いませんよね。
そこで他の動物をあてはめてみました。
「くまちゃん」「うしちゃん」「リスちゃん」
…どれも不自然。
やっぱり“ちゃん”が似合うのは犬と猫だけか、
と諦めかけたその瞬間、ついに閃いたんです!
「ハムちゃん!」
そうです、ハムスター。
実家で飼っていたとき、
親父が「ハムちゃん!ハムちゃん!」と
連呼してかわいがっていたのを思い出したんです。
つまり、“ちゃん付け”されるのは、犬・猫・ハムスター。(他にいたら教えて)
いずれも人間にとって癒しの存在であり、
家族のように近しい相手。
一方で、それ以外の動物は、心に少し距離を置いた存在。
更にその時に思い出したんです。
「これって、職場の人間関係にも似ている…」
実際、あるクライアントの部長さんが
こんな話をしてくださいました。
「Aさんが辞めるんです」
「なんか私に壁があるみたいで、私も壁を感じていたんです」
「『部長、お話しがあります』と言われたときに、あ、辞めるなと直感しました」
「案の定、退職の申出でした」
「いつか辞めるだろうなと感じていたのに、何もしなかった自分に腹が立つんです」
犬や猫、そしてハムスターのように、
自然と“ちゃん付け”できるほどの親しみやすさ。
それと同じように、
職場でも「安心して声をかけられる関係」が築けていれば、
辞める前に本音や悩みを打ち明けてもらえたかもしれません。
逆に「壁を感じる」状態では、言葉を交わしていても距離は縮まらず、
最後に「退職します」と告げられるだけになってしまいます。
その部長さんには
「今回のように2人でお話しがしにくかったら、私を交えて3人で雑談でもしましょう」
とお伝えしました。
やはり、人と人との距離感は大事――。
日常の小さなコミュニケーションの積み重ねが、
その差を生むのだと改めて感じます。
だからこそ必要なのが「承認」と「対話の習慣」です。
承認とは、大げさに褒めることではなく、
相手の存在や行動をきちんと認めること。
「見ているよ」「気づいているよ」
という小さなサインが、相手の心を開きます。
また、定期的な対話を通じて
「壁があるのでは?」と感じたときにこそ、
一歩踏み込んでみる勇気が大切だと感じます。
それが、離職を防ぐ予防策になったりします。
“ワンちゃん、ネコちゃん、ハムちゃん”のように、
自然と親しみを込められる関係性をつくるために、
承認と対話の力をもっと磨いていきたいですね。
…ただし現実の職場で「○○ちゃん」と呼ぶのは
セクハラと受け取られることもあるので要注意(^.^)