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経営相談に乗るときに一番大切にしていること
最近、経営者の方からさまざまな相談を受ける機会が増えてきました。
「経営方針が曖昧なんだけど、どうすればよいか?」
「社員が定着するにはどんな仕組みが必要なのか?」
どれも会社の未来に直結する大事なテーマです。
当然、私自身にも“答えの候補”はあります。
リーダー育成を専門にしている立場として、
「この会社なら、まずはこれがベストだろう」
と感じる方向性は、いくつか頭に浮かびます。
ただ、その経営者も相当に悩み抜いた上で相談されています。
もしかすると、私が考えている案は、すでに一度は検討しているかもしれない。
だから私は最初に、
「今までどんなことを考えてこられましたか?」
と質問するようにしています。
この問いかけをきっかけに、経営者自身が考えていたことが整理され、
話が進むうちに少しずつ方向性が見え始めていきます。
ところが、話が盛り上がってくると、私の中でふと心配になる瞬間があります。
「いま出てきたこの方向性、本当にこの経営者が望んでいるものかな?」
「流れで話していたら、論点が散らかってしまっていないかな?」
そうしたとき、私は最後に必ず“確認の質問”を投げかけます。
「今出た方向性って、会社のビジョンに合っていますか?」
「ここまでのことを確認する意味で、もう一度整理して話してもらってもいいですか?」
この問いを投げかけると、経営者は改めて考え直し、
自分の中で答えを確認しはじめます。
そして、対話のプロセスそのものが、
経営者にとっての“意思決定の整理時間”になります。
私は、物事を進めるうえで最も大切なのは、
誰かに答えを教えてもらうのではなく、自分の頭で納得して決めることだと考えています。
経営者の言葉が整理され、思考が一つにまとまっていく瞬間に立ち会えるのは、
この仕事の大きな喜びの一つです。
…ただし、ここでひとつ問題があります。
この“問いかけメソッド”、自宅ではまったく通用しません。
次女に
「今日学校どうだった?」
「最近何を考えてるの?」
と聞くと、ほぼ間違いなく——
「え、もうそういうのいいけん…」
と、面倒くさそうに受け流されます。
でも、別に私を嫌いなわけではなさそうですし、
一緒にご飯を食べたり、ちょっとした話をしたり、そういう日常の時間は普通に共有してくれます。
ただ、深入りされることは避けたいらしい…
経営者の思考整理はできても、
思春期の娘の気持ちの整理は簡単にはいきません。
でもそれもまた、
ちょうどいい距離感を模索している次女の成長の証なんだろうなと、
最近はそんなふうに受け止めています。
もしかすると、
私自身がもっと自然に寄り添えるようになるための試練なのかもしれません(^.^)


