グロースパートナー
社労士事務所

〒849-0934 佐賀県佐賀市開成5丁目4番26号
佐賀県の中小企業経営者の「リーダーが育たない」「管理職が役割を果たしてくれない」「ハラスメントを予防したい」というお悩みを解消するために活動しています。
★グロースパートナー社労士事務所は一般社団法人キャッシュフローコーチ協会、一般社団法人リネジツのメンバーです。★
 090-3412-1022
お問い合わせ

ブログ

2023 / 09 / 25  12:00

社員に経営数字をオープンにする理由とは?~後編~

 

前回のブログでは、社員に経営数字を勉強させるときの伝え方についてお話しました。

 

その伝え方で数々の会社の社員研修を行ってきましたが、

その中で唯一1度だけ社員が束になって私にクレームを言ってきた事件がありました。

 

その時の私の気持ちは

「社長、何で事前に〇〇ってこと、俺に教えてくれなかったのよ~」

「そりゃ、社員もクレームの1つも言いたくなるわ」

でした。

 

ではその事件はどんな事件だったのか?

 

これは社長からの事前ヒアリングが不足していたという話でもあり、

私にとって恥ずかしい話ではありますが、

大事なことだと思ったのでお話します。

 

前回のブログでお伝えした内容の研修を

ある製造業の会社で実施しました。

 

その製造業の社長よりこんな相談がありました。

 

「給料を増やすためには、売上が大事であることを社員に伝えて欲しい」

「給料アップを社員が直接私に言ってくるが、その前にやるべきことがあるのを理解して欲しい」

 

このようなことを望んでいたので、

 

「では、会社のお金の勉強会をやって

自分達の給料の増やすための考え方をレクチャーしますね」

 

そして勉強会がスタートしました。

 

「利益が大事」

「利益から出ていくもの」

「社長が人件費を増やす決断をする条件」

「これから全員で取り組むべきこと」

 

いつも通りの内容で進めていきましたが、

何人かの社員が明らかに不満顔で、

隣の社員となにやらヒソヒソやっていました。

 

「うーん、なんか納得している感じではないな」

と一抹の不安を感じながらも、

その勉強会を閉めようとしました。

 

その時、不満顔をしていた社員の一人が

次のようなことを言い出しました。

 

「自分達はもう3年以上も給料が上がっていません!」

「売上売上って、俺たち頑張って貢献しています!」

 

今回の勉強会にはたまたま社長は用事があって参加していませんでしたが

今までに積もりに積もった不満が一気に爆発したのです。

 

それらの不満はその社員の正直な思いなので尊重すべきであり

否定しようがないものです。

 

不満についてその場ではどうしようもなかったので、

「その思いについては社長に伝えますね」

とその場を収めました。

 

そのことを後日社長にお伝えし、

どのような原因が考えられるかをヒアリングしました。

 

そうしたところ、

社員の給料を確かに3年以上アップさせていないということが判明しました。

 

その会社、決して財務状況は悪くないのですが

社長としては

「給与水準を元々高めに設定しているので

しばらくはアップさせなくてもよいかと…」

 

その後改めて社員にもヒアリングしましたが

 

「社長は自分達に売上のことばかり言ってきて

木貞さんを通じてそれを伝えたかったのかも知れないけど

俺たちの気持ちを社長が理解していないのが逆によくわかった」

 

こんな認識だったようで、次のようなことも教えてくれました。

 

「社長は散財がスゴイんですよ。

接待交際費や高額な役員報酬で

自分の好きなことにばっかりお金を使っているにもかかわらず、

あんな研修を俺たちに受けさせるなんて、

正直腹が立ちました」

 

「うーん、確かに社員の言っていることはもっともだし、

物価が上がる中で給料が3年間も全く増えないのは

自分の生活に興味関心がないと受け止められてもしょうがないかな」

というのが私の率直な気持ちでした。

 

多くの中小企業は、例え10円だったとしても

必ず1年に1回は昇給させています。

 

毎月の給料は生活給であり、

日々の生活を支える大切なお金ですので

賞与とはまた違った意味があります。

 

そこを社長が理解せず、

全くの昇給なしの状態で

利益の大切さを合理的に説明したとしても

社員は頭では理解しても、

感情としては全く納得できないのです。

 

このことから言えるのは、

社員に後ろめたいことをしている社長は

経営数字をオープンにしてはいけないということです。

 

社長が自分の襟を正して、

社員へのうしろめたさをなくし

社員に報いてあげたい姿勢を示している前提がないと

いくら合理的な説明がなされたとしても

共感は得られないということです。

 

この件は私の教訓にもなっていますし、

それ以降は、この研修をやる際に必ず社長に

「長年昇給していないとか

社長が派手な生活を送っているイメージを持たれているなど、

社員から反発されそうな要素などないですか?」

と聞くようにしています。

 

今回は、労使のお金にまつわる信頼関係が希薄な状況で、

経営数字をオープンにするのは危険だということを

私の実体験をもとにお話ししました。

 

それにしても、

社員は社長のことを良く見ていますよね。

 

私の知り合いが、ある会社でパートとして働いていますが、

その会社の社長がいつも外国に行ってスポーツ観戦したり、

高級料理を食べたりしているのをSNSを通じて把握しているようで

「経費か自費か知らんけど、こいつを豪遊させるために私たちは働いているようなもんだわ」

と会うたびにボヤいています…

 

2024.07.27 Saturday