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「余計なことは喋るな」と言った社労士が、一番余計なことを喋った話
先日ですが、佐賀県外にある私の顧問先が労働基準監督署の調査を受けました。
呼び出し調査なので、いわゆる「労働者からの密告」ではなく、
純粋な定期調査の可能性が高いです。
とはいえ――
その会社の調査担当者は人生初の監督署対応。
「○○を聞かれたらどうしましょう?」
「□□が整合性取れていないのですが大丈夫ですか?」
…と、完全に税務調査を受ける時のような緊張感に包まれていました。
私としては、その会社はある程度労務も整っていましたし、
定期調査なのでそこまで心配はしていません。
しかし担当者の不安はかなりのもの。
そこで、調査前に事前レクチャーを行いました。
■事前レクチャーの全貌
不安でいっぱいの担当者に対して、
落ち着かせる意味を込めて調査中の意識すべきポイントを伝えました。
木貞
「まずですね、監督官の質問には可能な限りYESかNoで回答してください」
担当者
「説明しなくていいんですか?」
木貞
「聞かれたら説明すればいいです。でも、まずはYESかNoです」
少し間を置いて続けます。
木貞
「聞かれたことだけ回答してください」
担当者
「つい背景とか言いたくなりますよね…」
木貞
「それが一番危ないです。余計な情報を喋ると、監督官が『ん?』となって深掘りしてきます。会話は短めを意識してください」
担当者も深くうなずきます。
木貞
「あと税務署の調査と違って、監督署の調査は会社から搾り取ろうというスタンスではないです」
担当者
「そうなんですか?なんか怖いイメージが…」
木貞
「誤解です。誠実に対応すれば、監督官も誠実に対応してくれます。敵ではありません」
少し安心した表情。
そして最後に一番大事なこと。
木貞
「それから、顧問社労士がしゃしゃり出るとウザイと思われてややこしくなります。なので私はあまり話しません」
担当者
「えっ、そうなんですか?」
木貞
「はい。主役は会社です。ただ、フォローが必要な場面はしっかりフォローします」
担当者
「わかりました…なるべく短く、ですね」
作戦は整いました。
■いざ、本番
当日、調査は驚くほどスムーズに進みます。
終始穏やかな空気。
担当者も事前レクチャー通り、短く、的確に回答しています。
(よしよし…完璧だ)
そう思っていた矢先、ちょっとした会話がありました。
監督官
「有休の申請書に取得理由を書かせる欄はありますか?」
担当者
「ありません」
監督官
「それならよかったです。有休の理由を聞くのは違法とまでは言えませんが、有休取得促進を阻害するので控えてくださいね」
ここまでは完璧でした…
■そして事件は起きた
なぜか私、口が勝手に動きました。
木貞
「そう言えば、私の知り合いの監督官が、『有休取って韓国旅行に行くときは行先を報告しなきゃいけないのよ~』と言ってましたよ」
監督官
「…そうなんですよね。なんでしょうね、あれ(笑)」
「おい、人に厳しく自分達に甘いやん」と一瞬反撃したい気持ちが湧きます。
「矛盾を突きたい」 「論破したい」
「しかし、目的は勝つことではない、調査を終わらせることだ。」
私は一瞬で切り替えました。
木貞
「アハハ、公務員は労基法の対象外とは言え、色々大変ですね」
これで会話を強制終了。
■結果
結局のところ、調査は25分で終了。
指摘ほぼなし、ヒヤッとする場面もなし。
担当者
「こんなもんなんですね…」
そうです、ちゃんとしていたらこんなもんなんです。
■今回の最大の学び
事前に私は言いました。
「余計なことは喋らないでください」
一番余計なことを喋ったのは私でした…
顧問社労士歴10年以上、
数多くの調査に立ち会ってきましたが、まだまだ修行が足りません。
■まとめ
労基署調査の鉄則は3つ。
・誠実に
・シンプルに
・聞かれたことだけ
そして最後に一番大事なこと。
「余計なことは、顧問社労士が一番言いがち(笑)」


