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想定外の研修オーダーが広げてくれた自分の幅
先日、顧問先の病院から3時間の研修のオーダーをいただき実施してきました。
もともとのご依頼内容は、私がこれまで研修で扱ってきたテーマの延長線上にあり、
いくつかの組み立てパターンで対応できそうなものでした。
ところがです。
研修日の2週間前になって、かなり大幅な内容変更のオーダーが入ったのです。
正直、
「おいおい、今から変更ですか…」
と、かなり焦りました(笑)
とはいえ、そこはやはりせっかくご依頼いただいた以上はクライアントの期待に応えたい。
そう思い、すぐに内容の再構築に取りかかりました。
ただ、今回のオーダーはすべてが既存の内容で対応できるものではありませんでした。
感覚的には3割くらいは過去にやったことのある内容で対応可能。
しかし、残り7割はこれまでほとんど扱ったことのないテーマで、
かなり一から組み立てる必要がありました。
これがなかなか大変でした。
病院が今回の研修で本当に求めている成果は何か?
その成果を得るためには、どんな内容を、どんな順番で、どんな言葉で伝えるべきか?
さらに、ただ話すだけではなく、どんなワークを入れれば参加者に腹落ちするのか?
しかも、それを限られた3時間の中で成立させなければいけない。
なかなかの苦行です。
ただ、結論から言うと、かなり時間をかけて準備したこともあり、
結果としては非常に高い評価をいただくことができました。
今回、私が特に苦戦したのが、
「ものの伝え方」
というテーマです。
実はこの分野、誰かに徹底的に師事したとか、体系的に学んだというわけではありません。
そのため、これまではいわゆる
「初歩的なコミュニケーションスキル」
を教える研修については、どちらかというと少し距離を置いてきました。
私がこれまで積極的に行ってきたのは、
管理職やリーダーが部下の目標達成を支援するための関わり方や、
職場を前に進めるための会議・対話・マネジメントの研修です。
ですので、今回のように「伝え方」そのものを扱うとなると、最初は少し迷いもありました。
一瞬、関連書籍から内容を引っ張ってきて、それらしく組み立てることも頭をよぎりました。
でも、すぐにそれは違うなと思いました。
本に書いてあることをきれいに並べるだけでは、たしかに研修の体裁は整うかもしれません。
けれど、それは自分の言葉ではありません。
自分が本当に腹落ちしていないものを、もっともらしく語るのはどうにも性に合わない。
それでは自分がその場で語る正当性も弱いですし、何より熱量がこもりません。
それは、私にとっては“借りものの研修”です。
さすがにそれは研修講師としてのプライドが許しませんでした。
そこで今回は過去の自分自身の経験を丁寧に振り返ることにしました。
これまで自分が、
どうすれば相手に分かりやすく伝わるのか?
どうすれば相手が受け取りやすくなるのか?
どういう順番で話せば理解しやすいのか?
どんな前置きがあると相手が聞く姿勢になりやすいのか?
そうしたことを仕事の中でどんなふうに意識し、工夫してきたのか?
その積み重ねを一つひとつ言語化して、研修に落とし込んでいきました。
これが思いのほか大変でしたが、その分、自分の中でもかなり整理が進みました。
そしてこの研修をやり切ったことで、意外な副産物もありました。
それは、「ものの伝え方」に悩んでいる人が、
世の中にはかなり多いということにあらためて気づいたことです。
おそらくこの研修をきっかけに自分の中で、そのテーマへのアンテナが立ったのでしょう。
その後、いろいろな場面で
「どう伝えたらいいか分からない」
「言いたいことはあるのに、うまく伝わらない」
「話が長くなる」
「結論から言えない」
といった悩みに触れる機会が明らかに増えました。
今回の研修準備で自分の中で整理できたことを、別の場面でもお伝えする機会が増えてきたのです。
最初は病院からの大幅変更のオーダーに対して、
正直「マジかよ…」
という気持ちもありました。
でも、結果的にはそのオーダーに応えたことで、自分の幅がぐっと広がったように感じています。
研修というのは受講者の方に価値を届ける場であると同時に、
講師自身も鍛えられる場なのだとあらためて感じました。
……とはいえ、次に同じようなことがある時は、心の準備というものもありますので
できれば2週間前ではなく、もう少し早めに言っていただけると大変助かります(笑)


