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「ハラスメント予防」イラっとしたときに見えてくる自分の価値観
先日、ハラスメント予防研修を
お客様の管理職向けに実施してきました。
当日は開始20分前に到着し、
持参したスクリーンやプロジェクターの準備も無事完了。
「さて、あとはパソコンをつないで始めるだけだな」
と思った、その瞬間でした。
「あれ、パソコンがない……!」
そうなんです。
パワーポイントを保存した肝心のパソコンを、
まさかの自宅に忘れてしまっていたのです。
確かに家を出るとき、
「今日はなんだか荷物が少ないな」
とは感じていました。
ですが、まさか一番大事なものを忘れているとは思いもしませんでした。
慌てて取りに戻ったのが、研修開始15分前。
幸い、お客様の会社が自宅から1キロも離れていなかったため、
なんとか開始時間ギリギリで間に合わせることができました。
15年近く研修の仕事をしてきましたが、パソコンを忘れるという失態は今回が初めてです。
最悪の場合でも、
クラウドに保存していたパワーポイントをお客様のパソコンから
ダウンロードするという方法はあったと思います。
ただ、その場ではとにかく焦りましたし、
自分でもかなりショックでした。
やはり、慣れてきた頃が一番危ないのかもしれません。
皆さんも、どうぞ“慣れ”にはご注意ください。
閑話休題、前回はハラスメントについて、
相手の立場や人生の背景に思いを寄せる大切さを書きました。
……ところがですね。
先日、ある仕事仲間に対して、私自身がイラっとしてしまい、
少し強い口調で注意をしてしまったんです。
もちろん、この出来事そのものが
直ちにハラスメントというわけではありません。
ただ、そのあとで私はふと考えました。
「自分は、なぜこんなにイラっとしたのだろう?」
そこで振り返ってみると、
原因は相手の人柄そのものではなく、
価値観や、仕事を進めるうえでの姿勢の違いにあるのだと気づきました。
たとえば、クライアント先に20分前集合で向かうとします。
初めて訪問する会社であれば、
私は事前にパソコンのGoogleマップで場所を確認します。
もし表示が曖昧なら、
その周辺をストリートビューで見ます。
それでも分かりにくければ、
ホームページや求人情報まで見て情報を集めます。
車のナビがあてにならないこともあるので、
スマホのGoogleマップも併用します。
私にとっては、
「それくらいするのが当たり前」
なのです。
だから、そうした準備を十分にしないまま、
「車のナビがうまく表示してくれませんでした」
という理由で遅刻しそうになると、正直、
「それは甘いのではないか」
と感じてしまいます。
ただ、ここで大事なのは、
この“当たり前”は、私がこれまでの仕事経験の中で
積み重ねてきた価値観だということです。
つまり、私にとっては自然なことでも、
相手にとってはそうではないかもしれない。
そして人は、自分が大事にしている価値観と
正反対の行動を見たときに、強くイラっとしやすいのだと思います。
たとえば、
決まったことを決まった通りに進めたい上司からすれば、
新しい提案を次々に出してくる部下は煩わしく感じるかもしれません。
逆に、スピード感を大事にしたい上司からすれば、
細かいことにこだわって慎重になかなか動かない部下にイラっとするかもしれません。
つまり、ハラスメントが起こる動機は、
こうした価値観の衝突の中に隠れていることがあるのです。
別の言い方をすれば、
イラっとする相手がいることで、逆に
「自分は何を大事にしているのか」
が見えてくることもあります。
だからこそ、そこで頭ごなしに相手を否定するのは違うのだと思います。
そうではなく、
自分はなぜイラっとしたのか?
そこにある自分の価値観や姿勢は何か?
その価値観は仕事にどんな良い影響を与えるのか?
こうしたことを自分の中で整理したうえで、
相手にきちんと説明することが大切なのだと思います。
銀行員時代、私のまわりには、
今で言えば“ハラスメントっぽい”先輩もたくさんいました(笑)
それでも、できる上司や先輩は、ただ怒るだけではありませんでした。
なぜそれが必要なのか、
なぜそうしなければならないのかを、きちんと説明してくれたのです。
私が
「いや、でもですね……」
と食い下がっても、その先輩たちは、
すでに同じような疑問や反発を昔経験しているので、きちんと答えてくれました。
一方で、できない上司はどうだったか。
「そんなの当たり前だろ!」
この一言で終わりです。
すると、その言葉は私の中で、
「この人は自分の価値観を押し付けてくる人だ」
という印象に変わり、やがて
「嫌いな上司」
というレッテルになっていきました。
ちなみに、養命酒製造(株)がサラリーマンに取ったアンケート調査では、
上司の
「当たり前でしょ、常識でしょ」
というセリフは、部下を疲れを倍増させるセリフの第1位に挙がっています(笑)
たしかに、言われた側からすれば、
「いや、その“当たり前”の中身を知りたいんですけど……」
と言いたくなりますよね。
結局、何が言いたいのか。
それは、イラっとしたときこそ、
自分の価値観や姿勢を見つめ直すことが大事だということです。
そのうえで、自分の考えに偏りがないかを確認する。
もしその考えに妥当性があるのなら、
相手に分かるようにきちんと説明する。
ここを省いて、感情だけでぶつかってしまうと、
指導はすぐに“押し付け”に変わってしまいます。
ハラスメントを防ぐために必要なのは、
ただ怒らないことだけではありません。
自分の価値観を自覚すること。
そして、それを相手に伝わるように説明すること。
これもまた、とても大切なことなのだと思います。
……とはいえ、私自身もまだまだ修行中です。
イラっとした瞬間に冷静になれたら苦労しませんが、
せめてあとからでも
「自分は何に反応したのか」
を振り返ることは忘れないようにしたいものです。
そして願わくば、今後私が
「そんなの当たり前でしょう!」
と言いそうになったときは、心の中で誰かがそっと
「それ、部下がいちばん疲れるやつですよ」
と教えてくれたらありがたいなと思います(笑)


