グロースパートナー
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2026 / 07 / 06  12:00

「3年A組」と「最高の教師」に見る「事例ストーリー」の力

またまたNetflixの話で恐縮ですが、最近、『3年A組』と『最高の教師』を観ました。

 

『3年A組』は以前テレビで観ていたのですが、当時は

「先生がそんなことする?」

「そんなことをしたって、ドラマを観ている人が変わるわけないだろ」

と、少し斜に構えて見ていました。

 

一方、『最高の教師』は今回初めて観ました。

 

タイトルの印象とはかなり違って、なかなか重たく暗い展開です。

 

ただ、この2作品には共通点があるなあと感じました。

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どちらも、1人の生徒の死が大きな軸になっている作品です。

 

そして主人公である先生自身もまた、

自分の生き死にに関わる重たい状況の中に置かれています。

 

さらに印象的なのは、先生が生徒に投げかける言葉です。

 

本質をズバズバと突いてきて、生徒が言葉に詰まったり、逆ギレしたりする。

 

そんな先生と生徒のやり取りが、この2作品の大きな見どころだと思います。

 

ただ、私が特に面白いと思ったのは、

あの作品そのものが大きな事例ストーリーになっていることです。

 

実際にあったエピソードや、誰かの体験に基づくストーリーには、

人の感情を動かす力があります。

 

なぜなら、聞き手がそのストーリーに自分を投影し、

共感しながら受け取ることができるからです。

 

私が師事している和仁達也先生は、こうした人の心を動かす具体的な話を

事例ストーリーと呼んでいます。

 

たとえば、中学生の娘が最近反抗的で、話しかけてもそっけない返事しか返ってこない。

 

そんなときに、

 

「そんな態度はやめなさい」

「ちゃんと話を聞きなさい」

 

と正面から叱ると、余計にこじれてしまうことがあります。

 

そういうときに、

こんな事例ストーリーが効果的だと和仁先生は言います。

 

「ママも中学生の頃、どうしても親と話したくない時期があってね。

話しかけられても無視したことがあったんだよ。

でもある日、受験勉強していたら、

お母さんが黙って夜食のおにぎりをドアの外に置いてくれていて、

“ああ、応援してくれているんだな”って分かって、それだけで泣けてきたんだ」

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こんなふうに、娘さんを非難するのではなく、

「あなたのことを見ているよ」

「応援しているよ」

というメッセージをにじませるストーリーです。

 

こういう話は、まっすぐな説教よりも案外心のどこかに残ったりします。

 

あるいは、

「知り合いの娘さんの話なんだけどね」

と、少し距離のある他人の事例として話すのもひとつです。

 

近い関係の人の言葉は、どうしても

「結局、私に言ってるんでしょ」

と受け取られてしまいがちです。

 

でも、他人のストーリーになると、

相手は少し構えを解いて聞くことができます。

 

直接自分を責められているわけではないので、

余裕を持って受け止めやすいのです。

 

『3年A組』も『最高の教師』も、まさにこの構造を持っているように思います。

 

ドラマの中では、先生が生徒に対して本質を突く言葉を投げかけます。

 

生徒は言葉に詰まったり、答えられずに逆ギレしたり、

感情をむき出しにしたりする。

 

あのやり取りは、もちろん物語の中の出来事です。

 

でも、見ている側はそこに自分を重ねてしまう。

 

「これは自分にもあるかもしれない」

「逆ギレせずに冷静になれよ」

「なんで先生の言葉を素直に受け止めないのだろう」

「自分も同じようなことをしているかもしれない」

「昔、こういうことを言われたかったのかもしれない」

 

そんなふうにテレビの向こう側で起きているやり取りを、

自分のストーリーとして受け取り始めるのです。

 

けれど、自分が直接言われているわけではない。

 

言われているのは、テレビの中の生徒です。

 

だからこそ、こちらは少し距離を保ったまま、

その言葉を聞くことができます。

 

もしあれを真正面から

「あなたはこうです」

「あなたの問題はここです」

と直接言われたら、人はたぶん防御反応を起こします。

 

怒るか、拒絶するか、言い訳するか、

素直に受け止めるのはなかなか難しいでしょう。

 

でも、ドラマという形を通すことで、私たちは“他人の話”として見ながら、

同時に“自分の話”としても受け取ることができます。

 

これが事例ストーリーの力なのだと思います。

 

私は普段のコンサルティングの場で、経営者に何かの導入を促すときにも、

この事例ストーリーを大切にしています。

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たとえば、

「定年の引上げをしませんか?」

とストレートに言うと、

相手は拒絶反応を示しやすいのです。

 

「簡単に言うなよ」

「政府が勝手にそっちへ持っていきたいだけだろ」

そんな反応になることもあります。

 

でも、こういう伝え方ならどうでしょうか。

 

「ある経営者は、自分の会社で長年貢献してくれた社員を最後まで面倒みてあげたい、

そんな理念を持っていたそうです。

ただ、定年を引き上げても体力的に今の仕事は続けられない。

そこで社長は定年引上げと同時に高齢者でも働ける受け皿となる部署を新たにつくったんです。

ここまでやるかどうかは、会社の理念や経営者の想い次第なんでしょうけどね」

 

こう投げかけると、多くの経営者は

「それは素晴らしいな」

「やっぱり高齢の社員も大切にしてあげたいな」

という方向に気持ちが動きやすくなります。

 

つまり、人の感情を動かし、

「自分ごと」として受け止めてもらうためには、

事例ストーリーの力はやはり大きいということです。

 

『3年A組』も『最高の教師』も、単なる学園ドラマではなく

見る人が自分を投影し、余裕を持って本質を受け止めることができる

非常に強い事例ストーリーなのだと思います。

 

だからこそ、多くの人の心に残るのでしょう。

 

……とはいえ、もし現実にあんな先生が目の前にいて、本質をあそこまで鋭く突きつけてきたら、

私もきっと生徒たちと同じように言葉に詰まるか、逆ギレする側に回るかもしれません(笑)

 

やはり人は、“ちょっと距離のある物語”だからこそ、

素直に学べるのかもしれませんね。

 

2026.07.06 Monday