グロースパートナー
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2026 / 08 / 31  12:00

「Tシャツが乾くまで」で考えた、本音を伝える距離感

またまたNetflixの話で恐縮です(笑)

 

『Tシャツが乾くまで』を観たのですが、

その中で、少し心に残った言葉がありました。

 

正確な言い回しは少し違うかもしれませんが、たしか、

「嫌われてもいい相手だから、何でも話せる」

というような言葉でした。

 

これを聞いたとき、

佐賀大学で担当している就職相談のことを思い出しました。

 

私は学生と面談するとき、嫌われてもいいので

できるだけ本音を伝えるようにしています。

ChatGPT Image 2026年8月29日 20_32_19.png

もちろん、何でも思ったことを

そのまま乱暴に言えばいいわけではないので言い方は考えます。

 

ただ、それでも結構はっきり言うことがあります。

 

たとえば、

第一印象が少し暗く見える。

声が小さくて、自信がなさそうに見える。

話している内容が、どこか本音ではないように聞こえる。

その場しのぎで考えてきたように感じる。

あなたを私の部下として採用したいかというと、今のままだと少し難しいかもしれない。

 

そう感じたときは、

できるだけ伝えるようにしています。

 

本人は自信を持って話していても、

聞いているこちらにはあまり響いていないこともあります。

 

「これが自分の頑張ったエピソードです」

という感じで話しているけれど、

社会人側からすると、正直、

「ふーん」

くらいにしか感じないこともあります。

 

本人にとって大切な経験だったことは分かります。

 

ただ、面接で伝えるエピソードとして、

仕事の場面で活かせる強みまで伝わっているか、そこは別の話です。

 

学生時代には大きな経験に感じたことでも、社会人から見ると、

「それって割とみんな経験してるよ」

と思われることもあります。

 

だから、相談の場では、

「その話は、あなたにとっては大事な経験だと思う」

 

「ただ、面接官からすると、

そこまで強いエピソードには聞こえないかもしれない」

 

「もう少し、何を考えて、どう動いて、

何が変わったのかまで掘った方がいい」

 

というようなことを伝えます。

 

ただし、

すごい武勇伝のような経験が必要なわけではありません。

 

学生全員が、

大きな大会で優勝したり、

サークルを立ち上げたり、

留学先で大きな成果を出したりしているわけではありません。

 

むしろ多くの学生は普通の学生生活の中で、

自分なりに頑張ってきたことを話すことになります。

 

勉強を頑張った。

サークルを頑張った。

ゼミや研究に取り組んだ。

アルバイトを続けた。

友人やメンバーと協力しながら、何かを進めてきた。

 

それで十分だと思います。

 

大事なのは、経験の大きさではありません。

 

その中で、

自分が何にこだわっていたのか。

何を大事にしていたのか。

うまくいかないときに、どう考えたのか。

仲間とどうコミュニケーションを取ったのか。

目的や役割を、どう共有していったのか。

 

そこに、その人らしさが出ます。

 

「意見が出にくい雰囲気だったので、

まず少人数で話を聞くようにしました」

 

「目的がずれていたので、

最初に何のためにやるのかを確認しました」

 

「自分は前に出るタイプではなかったけれど、

準備や連絡を丁寧にすることで支えました」

 

という話になると、

その人の考え方や関わり方が見えてきます。

 

すごい話を探すより、

自分が本当に考えて動いた場面を探す。

 

その方が、その人らしい自己PRになると思っています。

 

また、自己PRでは、

自分の強みとエピソードが合っていないケースもあります。

 

たとえば、本人は

 

「私の強みは粘り強さです」

 

と言っている。

 

でも、話を聞いてみると、

エピソードから受ける印象はあまり粘り強さではない。

 

むしろ、

 

「違うと思ったら、結構早めに切り替えているよね」

 

「粘り強いというより、

柔軟に方向転換できるタイプじゃない?」

 

と思うことがあります。

 

そのときも、できるだけ伝えます。

 

「長所とエピソードが少し合っていないかもしれない」

 

「無理に“粘り強い”に寄せるより、

自分の本当の強みを見直した方がいいかもしれない」

 

ということです。

 

本人が言っている強みと、

エピソードから伝わる人物像が違うと、面接では違和感が出ます。

 

だからこそ、本人が使いたい言葉ではなく、

エピソードから自然に伝わる強みを

一緒に探すことが大切だと思っています。

 

もう一つ、就職相談でよく感じるのが、

暗記してきたことを、

忘れないうちに一気に言ってしまおうとしている学生です。

 

内容自体は悪くない。

きちんと準備している。

志望動機らしいことも言えている。

 

でも、聞いている側からすると、

どこか無機質に聞こえることがあります。

 

覚えてきた文章を、

間違えずに再生しているように聞こえるのです。

 

そうなると、

内容が耳には入ってきても、頭に残りません。

 

入ってきたと思ったら、

すぐに抜けていくような感じです。

 

面接は暗記発表会ではありません。

 

相手に自分の考えや気持ちを伝える場です。

ChatGPT Image 2026年8月29日 20_34_52.png

だから、少しくらい間があってもいいと思います。

 

少し考えながら話す。

言葉を選びながら話す。

自分の中で確認しながら話す。

 

その方が、自然に見えることがあります。

 

むしろ、聞いている側は、

その間に引き寄せられることがあります。

 

「あ、この人は今、自分の言葉で考えているな」

 

そう感じると、

こちらの耳も自然と相手に向きます。

 

逆に、

覚えてきた言葉を一気に並べられると、どれだけ内容が良くても、

その人の体温が感じられないことがあります。

 

だから私は、学生に対して、

 

「内容は悪くないけど、

暗記したことを吐き出しているように聞こえる」

 

「少し間を取っていいから、

自分の言葉で話した方が伝わる」

 

ということも伝えます。

 

学生からすると、耳の痛いこともあると思います。

 

実際に、こちらが感じたことを率直に伝えたところ、

明らかに不貞腐れた様子で帰っていった学生もいました。

 

そのときは、

「ああ、嫌われたな」

と思いました。

 

もちろん、学生に嫌われたいわけではありません。

 

できれば、

「相談してよかった」

と思ってもらいたいです。

 

ただ、相談の場で私が一番大事にしたいのは、

学生に好かれることではありません。

 

その学生が、

少しでもよい就職活動ができること。

 

自分に合った会社と出会えること。

 

そして、就職した後に、

できるだけ納得して働けること。

 

そちらの方が大事だと思っています。

 

だからこそ、相談の場で私が感じた違和感は、

できるだけ伝えた方がいいと思っています。

 

もちろん、伝えるだけでは不十分です。

 

「暗く見えるよ」

 

「声が小さいよ」

 

「暗記っぽく聞こえるよ」

 

「そのエピソードは、強みと少し合っていないよ」

 

それだけで終わってしまえば、

ただ傷つけるだけになるかもしれません。

 

大事なのは、

 

ではどうすればよいのか。

 

どこを変えれば印象が変わるのか。

 

どんな準備をすれば、自分の言葉で話せるようになるのか。

 

そこまで一緒に考えることだと思っています。

 

ドラマ『Tシャツが乾くまで』の中の、

「嫌われてもいい相手だから、何でも話せる」

という言葉を聞きながら、私はそのことを考えていました。

 

学生にとって、私は親でも先生でも友達でもありません。

 

長い付き合いになる相手ではないかもしれません。

 

だからこそ、言えることがあるのかもしれません。

 

身近な人ほど、気を遣って言えないことがあります。

 

親は心配しすぎる。

友達は優しすぎる。

先生は日頃の関係がある。

 

でも、少し距離のある相談相手だからこそ、

本人のために必要なことを率直に伝えられることがあります。

 

本音を伝えるのは、意外と勇気がいります。

 

言う側も、嫌われるかもしれないと思います。

 

でも、何も言わずに気持ちよく帰ってもらうだけが、

就職相談の役割ではないと思っています。

 

就職活動は、

自分をよく見せる場であると同時に、

自分を見つめ直す場でもあります。

 

自分ではなかなか気づけないことを、

誰かから言われて初めて気づくこともあります。

 

だから私は、これからも就職相談では、

できるだけ本音で向き合いたいと思っています。

 

嫌われてもいい覚悟。

 

でも、見捨てるわけではない。

 

その人が少しでもよい方向に進めるように、

その場で感じたことをきちんと渡す。

 

そんな関わり方を、これからも大事にしたいと思います。

 

ただ、学生からすると、相談に来たらいきなり

 

「今のままだと、一緒に働きたい感じが少し弱いかも」

 

とか、

 

「そのエピソード、社会人から見るとそこまで強く響かないかも」

 

とか、

 

「粘り強いというより、切り替えが早い人に見えるよ」

 

とか、

 

「暗記したことを、忘れないうちに言っているように聞こえる」

 

と言われるわけです。

 

なかなか嫌な時間かもしれません。

 

でも、社会に出る前に、

一度くらいそういうことを言う大人がいても

いいのではないかと思っています。

 

できれば、

「あのときは少しきつかったけど、言われてよかった」

 

いつかそう思ってもらえれば十分です。

 

その場で好かれることより、

何年か後に少しだけ思い出してもらえること。

 

就職相談では、

それくらいの距離感がちょうどいいのかもしれませんね(^^)

2026.08.31 Monday