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社長の思いは、社員に直接伝えるだけが正解じゃない
先日、佐賀県中小企業家同友会の例会に参加してきました。
この同友会には、もう10年以上所属しています。
今回の例会のテーマは、
「会社は社員とつくる ~人を生かす経営を現場でどう実践してきたのか~」
というものでした。
そして、グループディスカッションのテーマは、
「あなたの会社には、あなたの思いに共感し、語れる社員はいますか?」
というもの。
私の場合、一人で事務所をやっているので、
いるかと言われれば、いないわけですが(笑)
ただ、今回の例会では、非常に興味深い話を聞くことができました。
それは、
「どうすれば、社長の思いに共感し、その思いを自分の言葉で語れる社員が育つのか?」
ということです。
今回の報告者の方は、
そのために実践していることをいくつか紹介されていました。
まずは、とにかく経営理念を伝え続けること。
単に理念を唱和するだけではなく、
理念について社員がどう思っているのか、
話し合う機会を設けるということでした。
また、中小企業家同友会で学んだことや、
経営者同士でディスカッションした内容についても、随時社員さんに伝えているそうです。
こうした取り組みも、とても大切なことだと思います。
ただ、私が今回一番印象に残ったのは、それとは別の取り組みでした。
それは、
「社長である自分が社外で経営について発表するときに、社員をその会場に連れていく」
ということです。
これを聞いて、
「なるほどな!」
と思ったんですね。
例えば、会社の朝礼や会議で、
社長が自分の思いや経営理念について語ることがあります。
もちろん、これは大切なことです。
ただ、社員の立場からすると、
どうしても「自分たちに向けて言われている」という受け止め方になりやすいと思います。
中には、
「また社長が同じことを言ってるよ」
なんて思う社員もいるかもしれません(笑)
ところが、これが社外での発表になると、少し状況が変わります。
社長が話している相手は、自分たち社員ではありません。
会場にいる、他の中小企業の経営者たちです。
そこで社長が、自社の経営理念や大切にしていること、
これまでの取り組みなどを一生懸命に語る。
社員は、それを会場で聞いているわけです。
すると、社員の立場も少し変わるのではないでしょうか。
いつもは社長から話を聞く立場ですが、
このときは、自分たちの社長が発表している姿を見守る立場になります。
もしかすると、
「社長、頑張れ!」
と、応援するような気持ちにもなるかもしれません。
同じ社長の話なのに、
聞く場所や立場が変わるだけで、受け止め方も変わってくる。
人間って、面白いものですね。
そして、私がもう一つ大きいと思ったのが、他の経営者からの評価です。
例えば、社長の発表を聞いた経営者から、
「それは素晴らしい取り組みですね」
「なるほど、うちの会社でも取り入れたいです」
「そこまでやっているんですね。うちはまだできていません」
そんな言葉が出てきたとします。
それを社員が聞いたら、どう感じるでしょうか。
普段、会社の中にいると、自分たちがやっていることが、
他の会社と比べてどうなのか、なかなか分からないものです。
でも、他の経営者が評価している姿を見ることで、
「うちの会社って、結構いいことをやっているんだな」
「社長がいつも言っていることって、他の経営者から見ても大切なことなんだな」
そんなふうに感じる機会になるのではないでしょうか。
場合によっては、
「うちの社長って、他の会社より一歩先を行っているのかも」
なんて思うこともあるかもしれません。
これって、結構大きいと思うんですね。
社長が自分で、
「うちの会社はいい会社だ!」
「うちは素晴らしい取り組みをしている!」
と言うのと、
社外の経営者から、
「御社の取り組みは素晴らしいですね」
と言ってもらうのとでは、社員の受け止め方も違うと思います。
第三者から評価されることで、
自分たちの会社の良さに、改めて気づくことがあるわけです。
そして、それが自社への誇りや、社長への信頼につながっていく。
私は、そこに大きな意味があると感じました。
もちろん、社長が社員に直接思いを語ることは大切です。
理念について話し合うことも、
日頃から繰り返し伝えていくことも必要だと思います。
ただ、それだけが方法ではないんですね。
社員に直接伝える。
社員と話し合う。
そして、社長が社外に向けて思いを語る姿を、社員に見てもらう。
こうした方法を組み合わせることで、
社長の思いは、より伝わりやすくなるのかもしれません。
特に、社外での発表は、
社員がいつもとは違う立場から社長の話を聞く機会になります。
社長を応援する立場になったり、
社外からの評価を通じて、自分たちの会社を客観的に見つめたり。
そうした経験を通じて、
これまでとは違う形で、社長の思いや会社の価値観を
理解することもあると思います。
経営理念を浸透させるというと、
どうしても「どうやって社員に伝えるか」ということを考えがちです。
でも、今回の例会で感じたのは、
「どうすれば、社員が自分から社長の思いを受け止めたくなるのか」
という視点も大切なんだろうな、ということです。
言葉の内容は同じでも、誰に向けて語っているのか。
社員がどんな立場で聞いているのか。
そこが変わるだけで、伝わり方も変わることがある。
今回の例会では、そんなことを考えさせられました。
10年以上同友会に所属していますが、
まだまだ新しい気づきがあるものですね。
私も研修講師として、
「何を伝えるか」だけではなく、「どういう場面で、どう伝わるか」
ということを、もっと意識していきたいと思います(^.^)


